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大阪地方裁判所 平成5年(レ)30号 判決 1994年7月25日

控訴人

甲野一郎

右訴訟代理人弁護士

川崎敏夫

被控訴人

日本電信電話株式会社

右代表者代表取締役

児島仁

右訴訟代理人支配人

貝淵俊二

右訴訟代理人弁護士

高野裕士

竹田穣

主文

一  本件控訴を棄却する。但し、原判決主文第一項は、請求の減縮により次のとおり変更された。

控訴人は、被控訴人に対し、九万七一四七円及び内金三万三六四〇円に対する平成三年三月六日から、内金五万四四八六円に対する同年四月六日から、内金六七〇四円に対する同年五月八日から、内金二三一七円に対する同年六月六日から各完済の前日まで、それぞれ年一割四分五厘の割合による金員を支払え。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人の主位的、予備的請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

1  主文と同旨

2  (当審で追加された予備的請求)

控訴人は、被控訴人に対し、九万七一四七円及びこれに対する平成六年二月一五日(被控訴人の同月一四日付準備書面陳述の日の翌日)から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

第二  事実関係

本件は、被控訴人が控訴人に対し、主位的にダイヤル通話料、回線使用料などの電話料金の支払いを、予備的に電話加入契約上の債務不履行に基づく損害賠償を求めている事案である(なお、被控訴人は、原審において、有料情報サービス(いわゆるダイヤルQ2)の利用にかかる情報料の支払いも求めていたが、当審において右情報料の請求をしないこととして主位的請求を減縮した。)。

一  請求原因

1  被控訴人は、日本電信電話株式会社法(以下「法」という。)に基づいて設立された国内電気通信事業及びこれに付帯する業務を営むことを目的とする株式会社である。

2  被控訴人は、平成二年二月二六日、控訴人との間で、契約内容を被控訴人が定めた大要次のとおりの電話サービス契約約款(以下「電話約款」という。)によることとする電話加入契約を締結した(以下「本件契約」という。)。

(一) 電話番号 大阪○○○局○○○○番

設置場所 大阪市港区<番地略>

(以下「本件電話」という。)

(二) 料金の支払いは、基本料金は毎月初日から末日までの分を、右以外のダイヤル通話料金等は、前月六日から当月五日までの分を、ダイヤル通話料金等の締切後一か月経過した日を支払期日として被控訴人の営業所へ持参又は送金して支払う(電話約款一一五条、一一八条、一二四条、一二五条)。

(三) 遅延損害金は、料金の支払期日の翌日から支払済みの前日まで遅滞料金に対し年一割四分五厘の割合とする(電話約款一三一条)。

(四) 契約者は、契約者回線から行った通話(その契約者回線の契約者以外の者が行った通話を含む。)について、通話料金の支払義務を負う(電話約款一一八条)。

3  控訴人は、平成元年一月五日から同年五月三一日まで、本件電話を使用し、別紙料金表記載のとおり平成三年二月分から同年五月分までの基本料金等、ダイヤル通話料、消費税の合計九万七一四七円(以下「本件電話料金」という。)の支払義務を負っていた。しかるに、控訴人は、同表記載の各支払期日までに各電話料金の支払いをしなかった。

なお、右のダイヤル通話料のうち有料情報サービスの利用にかかるダイヤル通話料の算出方法について、①昼間時間帯通話は、ダイヤル通話の最低料金である区域内通話料(三分毎に一〇円)をもとに各通話ごとに算出し、②深夜・早朝時間帯(午後一一時から午前六時まで)通話は、全て深夜・早朝時間帯の料金(四分毎に一〇円)をもとに各通話ごとに算出した。

4  (当審において追加された予備的請求)

(一) 控訴人は、二〇〇〇件くらいの電話加入権を保有し、電話の売買及び賃貸(レンタル)を業とする者である。

(二) 控訴人は、本件電話を購入後、直ちに、大阪市港区<番地略>二階所在の乙田和男(以下「乙田」という。)に対し、本件電話を代金八万、代金完済まで本件電話の名義変更を留保するとの約定で売却した。

(三) このように、控訴人は、電話業者として本件電話を乙田方に設置し、同人に本件電話の使用を許諾していたのであるから、控訴人は、本件電話の加入契約者として、本件契約に基づき、乙田が本件電話を適正に利用するように管理する義務を負っていたというべきである。

(四) 本件において、仮に被控訴人の請求する本件電話料金が、乙田が本件電話を使用したことによるものであるとしても、それは控訴人の前記管理義務に違反した結果に他ならないのであり、控訴人には本件契約に基づく債務の不履行がある。そして、被控訴人が控訴人に対し、本件契約に基づき、本件電話料金の請求をなし得ないのであれば、被控訴人は、控訴人の前記債務不履行によって本件電話料金九万七一四七円と同額の損害を被ったというべきである。

(五) 被控訴人は、控訴人に対し、平成六年二月一四日の本件口頭弁論期日において、右損害の賠償請求をした。

5  よって、被控訴人は、控訴人に対し、主位的に、本件契約に基づき、別紙料金表記載の各電話料金合計九万七一四七円及び同表記載の各電話料金に対する同表記載の各支払期日の翌日から支払済みの前日まで年一割四分五厘の割合による約定遅延損害金の支払いを求め、予備的に、本件契約の債務不履行に基づく損害賠償として、九万七一四七円及びこれに対する催告の日の翌日である平成六年二月一五日から支払済みまで商事法定利率六分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2のうち、控訴人が平成二年二月二六日、被控訴人との間で本件契約を締結したことは認め、電話約款の内容は知らない。

3  同3のうち、控訴人が有料情報サービスの利用にかかる通話料を除くその余の電話料金債務を負っていること、控訴人が別紙電話料金表記載の各支払期日に電話料金を支払わなかったことは認め、有料情報サービスの利用にかかる通話料の算出方法は知らない。その余は否認する。

4  同4のうち、(一)、(二)の事実は認める。(三)、(四)は争う。

本件において、被控訴人の主張する管理とは、有料情報サービスの利用規制の制度を利用することと解されるところ、被控訴人は、そもそも有料情報サービス業務の開始と同時に利用規制制度を設けるべきであったのであり、本件契約時は未だ利用規制制度は設けられていなかったのであるから、控訴人は、かかる制度を利用することはできなかった。

また、被控訴人は、少なくとも電話業者たる控訴人が電話を売買し、名義変更を行わずに電話を第三者の住所に設置することが多いことを十分知っていたのであるから、このような電話は当然利用規制を行うべきであることを承知していたはずである。したがって、被控訴人は、積極的に個々の電話に対する利用規制制度の利用の有無を確認すべき義務があったのに、これを怠ったのである。

したがって、本件において、控訴人に債務不履行はない。

三  抗弁(信義則違反―主位的請求に対して)

被控訴人の請求する本件電話料金のうち、有料情報サービスの利用に伴う通話料は、別紙通話料内訳表記載のとおり合計二万八八六〇円であるところ、本件では、以下に述べる理由により控訴人は情報料の支払義務を負わない以上、被控訴人が情報料と不可分一体である通話料の支払いを求めることは、信義則に反し許されないというべきである。

1  被控訴人は、平成元年九月から大阪地区において、外国語ニュース、スポーツニュース、株式情報等に関する電話を利用する有料情報サービス業務を開始した。

被控訴人は、右有料情報サービスを行うにつき、法一条二項、同法施行規則一条の国内電気通信事業に付帯する業務として、電話約款に「有料情報サービスの利用者は、情報提供者に支払うべき当該サービス料金等について、これを被控訴人がその情報提供者に代わって回収することを承諾するものとする。」旨の有料情報サービスの情報料の回収代行業務に関する条項の追加・変更を行い、その旨郵政大臣に届け出た。そして、電話約款の追加・変更は、被控訴人の各事業所において店頭掲示するとともに、有料情報サービス業務の開始を全国各新聞紙上で広告した。

2  ところで、電話約款は認可約款であり、電気通信事業法三一条に基づき郵政大臣の認可を受けることにより、被控訴人と加入電話契約者との間の契約内容を規定することが認められているものであるところ、追加・変更後の電話約款一六二条及び一六三条は、有料情報サービス業務が電気通信事業法にいう電気通信事業ではなく、法一条二項、法施行規則一条の国内電気通信事業の付帯業務にすぎず、単に郵政大臣に対する届出のみで認可は受けていない。また、被控訴人が各営業所において追加・変更された電話約款を店頭に掲示しただけでは、周知手続としては不十分である。したがって、主務官庁の認可の対象となっていない追加・変更後の電話約款一六二条及び一六三条について、認可約款たる電話約款と同様の当然の拘束力を認めることはできず、被控訴人は追加・変更後の電話約款一六二条及び一六三条に基づき、控訴人に情報料の支払いを求めることはできない。

3  仮に、追加・変更後の電話約款一六二条及び一六三条が加入電話契約者に対して拘束力を有するとしても、右規定は、その文言からして、加入電話契約者が情報提供者に債務を負担している場合に、被控訴人が情報提供者に代わって情報料を回収する相手が加入電話契約者であることを明示しているにすぎず、加入電話契約者以外の者が無断で有料情報サービスを利用した場合にも加入電話契約者が情報提供者に情報料債務が発生するということまでは明示的に規定していない。そして、本件電話を利用して「このサービスは、情報料と通話料合わせて○○秒に約一〇円の料金がかかります。」というガイダンスを聞いて情報提供者から情報を受け取ったのは、控訴人以外の第三者であるから、結局、加入電話契約者たる控訴人が有料情報サービスの情報提供者に対し、情報料債務を負担する根拠はない。

4  また、有料情報サービス業務の開始のような加入電話契約者にとって重大な影響を及ぼす事項の通知について、被控訴人の採った前記措置は、加入電話契約者の利益を無視し、法並びに電気通信事業法にいう公共の福祉の増進という責務、目的を忘れて自己の利益のみを追求するものであり、加入電話契約者の十分な理解を得ないまま一方的に契約の締結を押しつけることになり、違法である。

5  被控訴人が情報提供者のために情報料の回収を代行することは、弁護士法七二条にも違反する。

四  抗弁に対する認否

抗弁のうち1の事実は認め、その余は争う。

五  被控訴人の反論

1  そもそも、加入電話契約者は、被控訴人に対し、電話約款一一三条の規定により測定した通話時間と電話約款料金表第二の規定に基づいて算出したダイヤル通話料金を支払うこととされている(電話約款一一八条)。そして、ダイヤル通話料金の減免については、一一〇番、一一九番の緊急通報用電話及び電気通信サービスに関する問い合わせ以外には、特定災害時における一定の公衆電話機からの通話料のみが免除される(電気通信事業法三一条四項、同法施行規則二二条、電話約款一一八条三項、一二三条)のであり、公衆電話機以外の一般加入電話の通話料が免除されることはない。このように、法令及び電話約款が通話料につき減免を厳格に制限しているのは、通話料金が公共料金として認可料金となっており、定型的・画一的に処理することが公益的、公共的に適合し、公平の理念に叶うとの意に出たものである。したがって、右以外の場合の通話料は、その性質からいってその通話の態様、通話の内容、通話者の支払能力等一切の事情にかかわらず、一律に加入電話契約者に支払義務を認めるものであるから、被控訴人がかかる減免し得ない通話料を請求することは、法令で義務づけられた任務の履行に他ならず、信義則に反すると解する余地はない。

2  有料情報サービスの利用に伴う通話料は、一般の通話料と全く同じものであるから、等しく電話約款一一八条の適用を受けるものであり、密接な関係の有無により法的取扱いを異にするものではない。

すなわち、有料情報サービスの利用に伴う情報料と通話料は、形式的にも法的にも区分されているのであり、両者が不可分一体であるとか密接な関係にあるというものではない。まして、情報料は、情報提供者と利用者との間の特定情報の売買の対価としての性質を持ち、これは情報提供者に帰属するものであるのに対し、通話料は、電話回線の使用料であってこれは被控訴人に帰属するものであるから、両者は本質的に異なるものであり、不可分一体ないし密接に共通しているとは到底いえない。

第三  証拠<省略>

理由

一まず、控訴人が被控訴人に対し、本件電話のダイヤル通話料等の支払債務を負うかという点について判断する。

1  被控訴人が、法に基づいて設立された国内電気通信事業及びこれに付帯する業務を営むことを目的とする株式会社であること、被控訴人と控訴人が平成二年二月二六日、本件契約を締結して本件電話を設置したこと、控訴人は、被控訴人に対し、別紙料金表記載の電話料金合計九万七一四七円のうち、別紙通話料内訳表記載の有料情報サービスにかかる通話料二万八八六〇円を除く通話料一万五五三〇円及びこれに対する消費税並びに基本料金等五万一四二六円の支払義務を負っていること、控訴人は、別紙料金表記載の各電話料金を同表記載の各支払期日に支払わなかったことは当事者間に争いがない。

2  甲第一号証ないし第六号証、第三五号証の一、二、原審証人小林敬明の証言及び弁論の全趣旨によると、控訴人と被控訴人との間の本件契約の内容は電話約款によるものとされていること、電話約款は電気通信事業法三一条により郵政大臣の認可を受けた認可約款であること、電話約款によると、(一)料金の支払いは、基本料金は毎月初日から末日までの分を、右以外のダイヤル通話料金等は、前月六日から当月五日までの分を、ダイヤル通話料金等の締切後一か月経過した日を支払期日として被控訴人の営業所へ持参又は送金して支払う(一一五条、一一八条、一二四条、一二五条)、(二)遅延損害金は、料金の支払期日の翌日から支払済みの前日まで遅滞料金に対し年一割四分五厘の割合とする(一三一条)、(三)契約者は、契約者回線から行った通話(その契約者回線の契約者以外の者が行った通話を含む。)について、通話料金の支払義務を負う(一一八条)とそれぞれ定められていること、平成三年一月五日から同年二月二二日までの間に控訴人以外の第三者が本件電話を使用して有料情報サービスを利用したこと、右有料情報サービスの利用にかかる通話料は合計二万八八六〇円であることが認められ、右認定に反する証拠はない。

3  右1、2の各事実によると、

控訴人は、被控訴人との間で本件契約を締結した以上、本件電話を自ら使用すると第三者に使用させるとを問わず、認可約款たる電話約款に当然に拘束されるものであるところ、電話約款によると加入電話契約者は、回線使用料などの基本料金などの支払義務を負い(一一五条)、また、加入電話契約者の加入電話回線から行った通話の料金は当該契約者が支払義務を負う(一一八条)とされているのであり、また、通話料は、電話の利用者が電話回線を利用することの対する対価であるから、当該通話料が有料情報サービスの利用にかかるものであるとしても、それは電話回線を利用することの対価に他ならず、他の一般の通話料と何ら変わりのないものであるといえる。そうだとすれば、控訴人が本件電話を自ら使用したか否かを問わず、控訴人は、被控訴人に対し、電話約款に従い、別紙料金表記載の各電話料金及び同表記載の各電話料金に対する同表記載の各支払期日の翌日から支払済みの前日まで年一割四分五厘の割合による遅延損害金債務を負っているというべきである。

二次に、被控訴人が控訴人に対し、有料情報サービスの利用にかかるダイヤル通話料を請求することが信義則に反するかという点について判断する。

1  甲第一号証ないし第七号証、第一〇号証、第一一号証、第一三号証、第二五号証ないし第三四号証、第四一号証、第五七号証、第五八号証、原審証人小林敬明の証言及び弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。

(一)  被控訴人は、平成元年五月、有料情報サービス業務を法一条二項、同法施行規則一条による国内電気通信事業に付帯する業務として行うこととし、そのために電話約款一六二条ないし一六四条を追加・変更したうえ、同月三〇日、郵政大臣にその旨を届け出た。追加・変更された電話約款によると、有料情報サービスとは、利用者が加入電話や公衆電話を利用して、情報提供者から有料で情報を受けるということを内容とするものであり、利用者の情報提供者に対する情報料は、被控訴人が情報提供者に代わってダイヤル通話料と合わせて利用者から回収し、これを情報提供者に支払うこととされている。被控訴人は、追加・変更された電話約款の内容を被控訴人の支店及び営業所の店頭に掲示するとともに、有料情報サービスの内容を全国の一般新聞紙上に掲載して広告した。

(二)  右の有料情報サービスについては、その後、青少年に悪影響を及ぼすような内容の情報が提供されたり、情報料が高額化するなど、社会問題となったため、被控訴人は、平成二年一〇月三〇日、有料情報サービスの利用を望まない加入電話契約者に対し、右のサービスの利用ができないようにする利用規制の制度(以下「利用規制制度」という。)を設け、その旨を被控訴人の営業所に広告するとともに、全国の一般新聞紙上にも掲載して広告した。利用規制の申出は、局番なしの一一六番(無料)又は被控訴人の支店、営業所の窓口で受け付けられており、工事費は無料であって、その工事は通常申込みの当日又は翌日に行われ、長時間を要しないものである。

(三)  控訴人は、昭和五七、八年ころから電話取引業を営み、業として電話加入権の売買を行っている者であるが、第三者に売却する目的で本件電話を購入し、平成二年二月二六日ころ、乙田に対し、本件電話を代金八万円、支払方法は二〇回の分割払い、本件電話の名義変更は乙田が代金を完済するまで留保するとの約定で売り渡した。

(四)  控訴人は、利用規制制度が設けられた直後から、乙田に対する本件電話の売却と同様の形態により売却した電話加入権の一部について利用規制制度による有料情報利用規制の申出をしていた。しかし、控訴人は、本件電話については、平成三年二月二二日になって初めて利用規制制度による有料情報利用規制の申出をし、同月二六日に利用規制が実施された。

2  右の事実によると、控訴人は電話取引業者として被控訴人が行う有料情報サービスの内容及び利用規制制度を十分に知っており、乙田が本件電話を利用して有料情報サービスを受けることのあり得ることも当然に認識していたとみられるうえ、有料情報サービスの利用規制の手続は極めて簡易であって、控訴人が利用規制制度の適用を受けることに何らの支障もないはずであるにもかかわらず、控訴人は本件電話につき利用規制の申出をしていなかったというのであるから、これらの事情を総合考慮すると、本件において、被控訴人が控訴人に対し、ダイヤル通話料の請求をすることが信義則に反するとまでいうことはできない。そして、情報料は情報提供者の提供する情報の売買代金であって情報提供者に支払われるべきものであるのに対し、ダイヤル通話料は電話回線を利用することの対価であって被控訴人に支払われるべきもので、両者はその性質を全く異にするものであり、前記のとおり、当該契約者回線が利用された場合にはその対価として加入電話契約者がダイヤル通話料を支払うべきものであることからすると、控訴人が情報提供者に対し、情報料債務を負担するかどうかということは右の結論に影響を及ぼすものではないというべきである。

三以上によれば、被控訴人の請求は理由があるから、これと同趣旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、なお、当審において主位的請求の減縮がなされたので、既判力の及ぶ範囲を明確にする意味で原判決主文第一項を主文第一項のとおり変更することとし、民事訴訟法三八四条、九五条本文、八九条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官窪田正彦 裁判官佐賀義史 裁判官島岡大雄)

別紙料金表<省略>

別紙通話料内訳表<省略>

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